土質力学

著者:編著者:安福規之(九州大学 教授) 著者:石藏良平(九州大学准 教授)/ 大嶺聖(長崎大学 教授)/ 笠間清伸(九州大学 教授)/ 酒匂一成 (鹿児島大学 教授)/ 蒋宇静(長崎大学 教授)/ 末次大輔(宮崎大学 教授)/ 杉本知史(長崎大学 准教授)/ 林泰弘(九州産業大学 教授)/ 福林良典(宮崎大学准教授)/ 松原仁(琉球大学 准教授)/ 椋木俊文(熊本大学 教授)/ 村上哲(福岡大学 教授)/ 山本健太郎(大分大学 准教授)
分野:土木工学
ページ数:320
判型:A5
ISBN:978-4-8446-0918-6
定価:本体 3,200円 + 税
「はしがき」より
 本書は,山内豊聡先生(九州大学名誉教授)の教科書「土質力学」のリブート本として九州・沖縄在住の教員で協働して執筆した土質力学の入門書である。リブートには再出発,再始動という意味があり,はじめて土質力学を学ぶ学生や技術者の独習に適した内容となっている。手元に一冊,置いていただいて,必要な時に何度でも読み直していただきたいテキストである。
 本書を執筆するにあたっては,執筆者間での意見交換,出版社の要望等を踏まえ,次のような事項に留意している。
 1) 九州・沖縄在住の若手の教員が協働して,各章間のつながりを共有しながら執筆する。
 2) その際,山内先生の2001年版(最終版)の教科書の構成を最大限活かし,考え方の理解に充填を置きつつ,新たに定着している知見も取り入れて,より現状にあった内容を実現する。
 3) 各章に「はじめに」の節を新たに設け,どのようなことがその章で学べるのかを学生の視点から分かりやすく示す。
 4) 各章には,理解を深めるために必要な「例題」を設けるとともに,理解の確認が独自でできるよう「演習問題」を各章に設定する。また,演習問題の解答例や式の誘導過程などは,Web等を活かして丁寧でわかりやすいものとする。
 5) 地盤工学用語辞典((公社)地盤工学会編, 2006年)の見出し用語として示されている「技術用語」が検索できるように標記を工夫する。
 6)これからの土質力学として「土質力学で学べること」,「土の動的性質」および「地盤の環境と防災」に関する新たな章を組み入れ,学生の理解の幅を広げる工夫をする。
 このような点を随時,執筆者で確認しながら執筆を進め,漸く14名の執筆者で一つのまとまった本を創り上げることができた。
目次正誤表追加情報
第1章 「土質力学」で学べること       
1.1 はじめに         
1.2 地盤にかかわる問題と求められる役割や機能
1.3 海上空港の連絡橋建設プロジェクト -連絡橋を支える地盤-
1.4 まとめ -土質力学の周辺分野-
演習問題

第2章 土の物理的性質と分類
2.1 はじめに
2.2 岩石からの土の生成
2.3 土の三相構成と状態量の定義
 2.3.1 土の構成
 2.3.2 基本的物理量の定義
 2.3.3 土の諸量に関する測定方法
2.4 土の粒度分布の表現
2.5 土のコンシステンシー
 2.5.1 コンシステンシーとは
 2.5.2 測定方法
 2.5.3 コンシステンシー限界から得られる諸定数
2.6 土の工学的分類
 2.6.1 地盤材料の分類
 2.6.2 粗粒土の分類
 2.6.3 細粒土の分類
演習問題

第3章 土の締固め 
3.1 はじめに
3.2 土の締固めの目的と機構
3.3 締固め試験
 3.3.1 締固め試験の方法
 3.3.2 締固め曲線に及ぼす影響因子
 3.3.3 締固めによる土の力学的性質の変化
3.4 現場での締固め
 3.4.1 転圧
 3.4.2 施工管理方法
演習問題

第4章 土中水の物理
4.1 はじめに
4.2 土中水の毛管上昇
4.3 地中の平衡含水比
4.4 ダルシー則と透水係数
4.5 透水係数に影響する要素
 4.5.1 透水係数のモデル
 4.5.2 土の粒度               
 4.5.3  浸透水の性質            
 4.5.4 間隔比と透水係数の関係        
 4.5.5 土の構造
 4.5.6 飽和度と透水係数の関係         
4.6 土の透水性を評価する試験方法
 4.6.1 実験室における透水係数の測定
4.7 井戸とボーリングによる現場透水試験
4.8 異なる層から成る土の透水係数
 4.8.1 水の流れが層に平行の場合       
 4.8.2 水の流れが層に垂直の場合       
4.9 流線網(flow net)と浸透圧
4.10 流線網の描き方と流量及び揚圧力の計算
4.11 クイックサンド
演習問題                 

第5章 土の圧密
5.1 はじめに
5.2 土中の有効応力
5.3 土の圧密試験
 5.3.1 実験装置と試験結果の一例
 5.3.2 最終沈下量の計算
 5.3.3 圧密降伏応力
 5.3.4 構造物直下および複数層の圧密沈下量
5.4 土の圧密理論
 5.4.1 圧密現象のモデルと仮定
 5.4.2 圧密方程式
 5.4.3 圧密方程式の解
 5.4.4 圧密度と圧密沈下量
 5.4.5 沈下時間
5.5 時間沈下曲線から得られる圧密定数    
 5.5.1 圧密係数
 5.5.2 透水係数
 5.5.3 一次元圧密比
5.6 圧密促進工法         
 5.6.1 サンドドレーン工法
 5.6.2 プレローディング工法
 5.6.3 その他
演習問題

第6章 土のせん断とせん断強さ
6.1 はじめに
6.2 主応力とモールの応力円
6.3 土のせん断抵抗と破壊規準
6.4 せん断試験
 6.4.1 せん断試験の種類
 6.4.2 圧密条件と排水条件
 6.4.3 三軸圧縮試験
 6.4.4 一面せん断試験
 6.4.5 一軸圧縮試験
 6.4.6 ベーンせん断試験    
6.5 砂質土のせん断特性
6.6 粘性土のせん断特性
 6.6.1 練返し効果
 6.6.2 せん断強さに及ぼす先行圧密および排水の影響
 6.6.3 クリープ
 6.6.4 土構造
演習問題 1

第7章 土の繰返しせん断と液状化
7.1 はじめに
7.2 地震時の地盤被害   
7.3 土の繰返しせん断  
 7.3.1 基礎方程式     
 7.3.2 繰返しせん断試験    
 7.3.3 繰返しせん断を受ける土の変形特性    
 7.3.4 繰返しせん断を受ける土の強度特性   
7.4 砂地盤の液状化と対策  
 7.4.1 液状化のメカニズム   
 7.4.2 液状化判定  
 7.4.3 液状化対策   
演習問題                   

第8章 地盤内応力   
8.1 はじめに   
8.2 弾性論による応力とひずみ   
8.3 鉛直集中荷重による地盤の応力  
8.4 種々の地表面荷重による地盤中の応力  
 8.4.1 集中荷重   
 8.4.2 線荷重
 8.4.3 帯荷重   
 8.4.4 長方形等分布荷重   
 8.4.5 台形荷重   
8.5 地盤反力と応力集中   
8.6 土の変形係数とポアソン比   
演習問題  

第9章 地盤の安定:土圧   
9.1 はじめに   
9.2 裏込め土に作用する応力   
9.3 土圧の概念(静止土圧,主働土圧,受働土圧)
9.4 静止土圧                 
9.5 ランキン土圧
 9.5.1 土圧とモールの応力円の関係
 9.5.2 主働土圧と受働土圧
 9.5.3 土圧分布と土圧合力
9.6 クーロン土圧
 9.6.1 土圧の定義
 9.6.2 土くさびに作用する力のつり合い
 9.6.3 境界条件が複雑な場合の土圧係数
 9.6.4 地震時土圧の考え方
9.7 土圧理論の適用範囲と特徴
演習問題
付録                      

第10章 地盤の安定:支持力
10.1 はじめに
10.2 基礎構造物と地盤の支持力
10.3 支持力の算出のための地盤の原位置試験
10.4 基礎の沈下
10.5 浅い基礎の支持力
 10.5.1 支持力算定公式の導出
 10.5.2 支持力算定公式の修正と運用
 10.5.3 基礎形状と支持力
10.6 杭基礎の支持力
 10.6.1 杭基礎
 10.6.2 杭基礎の支持力
 10.6.3 ネガティブフリクション
 10.6.4 群杭効果
演習問題

第11章 地盤の安定:斜面
11.1 はじめに
11.2 斜面破壊の種類と安全率
11.3 斜面安定解析に用いる土のせん断強さ
11.4 無限斜面の安定計算(無限斜面法)
 11.4.1 地下水位がすべり面よりも深い位置にある場合
 11.4.2 すべり面上に定常浸透流がある場合
11.5 円弧すべりに対する斜面安定計算
 11.5.1 極限平衡法を用いた計算法
 11.5.2 安定係数を用いた図解法
11.6 複合すべりを起こす斜面の安定計算

第12章 地盤の環境と防災               
12.1 はじめに
12.2 地盤の環境機能
 12.2.1 保水機能と水循環
 12.2.2 浄化機能
 12.2.3 土中の物質循環
12.3 地盤汚染,廃棄物の処分および副産物の有効利用技術
 12.3.1 土壌・地下水汚染の対策技術
 12.3.2 廃棄物の埋立処分
 12.3.3 副産物の有効利用技術
12.4 地盤環境と地盤防災
 12.4.1 地球環境問題と土地劣化
 12.4.2 気候変動と地盤災害に対する適応策
 12.4.3 持続可能な社会の構築に向けて
演習問題

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