栄養代謝学

著者:金行孝雄著
分野:コメディカル
ページ数:104頁
判型:B5
ISBN:ISBN978-4-8446-0849-3
定価:本体 1,800円 + 税
今日、ヒトの健康問題は疾患の治療から予防に向けての取り組みが重要視されてきている。栄養の原則もまた、特定の栄養素の欠乏状態よりも、過剰摂取に起因する内臓脂肪蓄積型肥満によるメタボリックシンドロームのリスクが増大し、生活習慣病といわれる糖尿病、高血圧、脂質異常症などが社会的にも大きな問題になっている。このことは、栄養素による急性疾患よりもむしろ慢性疾患の影響が重要であることが分かる。生活習慣は食生活に関するものが主体であるので、これは当然、栄養学の守備範囲であり、生活習慣病は予防が重要であり、このことは新しい栄養学の1つの任務である。栄養学は人間を対象とするものであり、生命科学の一分野であり基礎栄養学、臨床栄養学、応用栄養学、栄養代謝学や栄養管理などに細分化されることもある。
 栄養代謝学の重要なテーマとしてエネルギー収支バランスがある。長期的にはエネルギー摂取量、エネルギー消費量、体重が互いに連動して変化することで調節される。エネルギー摂取量がエネルギー消費量を上回ると体重が増加して肥満につながる。エネルギー摂取量は、種々の因子によって影響を受ける。なかでも食事中の栄養素である糖質、脂肪、たんぱく質、食物繊維は生体でのエネルギー源として利用され、それらの代謝と意義についての理解ができるように、栄養素の消化・吸収、生体内での代謝と生理機能について記述した。エタノールは7.1 kcal/gのエネルギーを産生することからエネルギー収支に影響する。また、特に高齢者は低栄養から虚弱、筋肉減少を来すので、健康寿命の延伸や介護予防に関連するとされる栄養素を取り上げた。水は生命活動を維持するために必要量をとることは他の栄養素をとる以上に重要であることから記載した。
 本書は健康について学ぶ学生の教科書としてのみならず、現場担当者や一般市民に参考書として使われることを期待して執筆した。
目次正誤表追加情報
第1章 エネルギー代謝 1

1 生体で利用できるエネルギー 2
2 エネルギーの交代 2
3 生体エネルギーと代謝 2
4 自由エネルギー 2
5 ATPの役割 4
6 ATPの生成 4
7 ATPの消費 5
 7.1 生体構成成分の合成 5
 7.2 細胞運動 5
 7.3 能動輸送 5
 7.4 細胞内シグナル伝達系 6

第2章 糖質の代謝 7

1 糖質の消化・吸収 8
2 グルコースの主な代謝系 9
3 グルコースの分解 10
 3.1 解糖系 10
 3.2 クエン酸回路 10
 3.3 電子伝達系と酸化的リン酸化 10
 3.4 グルコースから生じるATPの数 11
4 グリコーゲンの代謝 13
 4.1 グリコーゲンの合成 13
 4.2 グリコーゲンの分解 13
 4.3 グリコーゲン代謝の調節 14
5 糖新生 15
 5.1 糖新生の反応 16
 5.2 糖新生の原料 17
6 糖の相互転換と新生 18
 6.1 ペントースリン酸回路 18
 6.2 グルクロン酸経路 18
 6.3 フルクトースの代謝 18
 6.4 ガラクトースの代謝 19
7 血糖値の調節 19
8 グリコーゲンと脂肪酸の合成 20
9 解糖系と糖新生系の調節 21
10 グルコースの毒性 21
11 食物繊維 22
 11.1 難消化性オリゴ糖と糖アルコールの機能 22
 11.2 食物繊維の種類 23
 11.3 食物繊維の種類と生理作用 23
12 アルコール 24
 12.1 アルコール代謝 24
 12.2 アルコールのエネルギー代謝 25
 12.3 チアミン 25 
12.4 酒の功罪 26

第3章 脂質の代謝 27

1 脂肪の消化・吸収 28
2 脂質の輸送と蓄積 29
3 脂肪酸 31
4 脂肪酸の酸化経路 32
 4.1 脂肪酸の遊離 32
 4.2 脂肪酸のミトコンドリアマトリックスへの移行 32
 4.3 脂肪酸のβ酸化 33
 4.4 β酸化反応によるATPの産生 33
5 ケトン体生成と利用 34
6 脂肪酸の生合成 35
 6.1 細胞質ゾルへのアセチルCoAの供給 35
 6.2 パルミチン酸の合成 36
 6.3 脂肪酸鎖の伸長 37
7 トリグリセリドの合成 38
8 コレステロールの生合成と代謝 38
9 コレステロールからつくられる化合物 39
 9.1 胆汁酸の生成と腸肝循環 39
 9.2 ビタミンD3の生合成 39
 9.3 ステロイドホルモンの合成 40
10 エイコサノイドの生合成 40
11 褐色脂肪組織の役割 41
12 トランス脂肪酸 42

第4章 たんぱく質とアミノ酸の代謝 43

1 たんぱく質とアミノ酸 44
 1.1 1日のたんぱく質代謝量とアミノ酸代謝量 44
2 たんぱく質とアミノ酸の役割 44
3 たんぱく質の合成 44
 3.1 転写 45
 3.2 翻訳 45
4 たんぱく質の構造 47
5 体たんぱく質の代謝回転 47
6 たんぱく質の栄養価 47
 6.1 必須アミノ酸 47
 6.2 生物的評価法 48
 6.3 化学的評価法 48
 6.4 アミノ酸の補足効果 48
7 食物中のたんぱく質の消化と吸収 49
 7.1 たんぱく質の消化 49
 7.2 たんぱく質消化物の吸収 49
8 たんぱく質の分解 50
 8.1 たんぱく質の分解(リソソーム系) 50
 8.2 たんぱく質の分解(ユビキチン-プロテアソーム系) 51
9 アミノ酸 52
10 アミノ酸の窒素の代謝 53
 10.1 アミノ基転移反応 53
11 糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸 53
12 アンモニアの処理と尿素回路 54
 12.1 アンモニアの生成 54
 12.2 尿素回路によるアンモニアの処理 54
13 アミノ酸からの含窒素化合物の合成 55
 13.1 ホスホクレアチンの合成 55
 13.2 ポルフィリンの生合成と分解 56
 13.3 プリン塩基とピリミジン塩基 57
 13.4 生理活性アミンの合成 57
 13.5 グルタチオンの合成 57
 13.6 一酸化窒素の合成 57

第5章 ビタミン 59

1 ビタミンA 60
 1.1 ホルモン様作用 62
 1.2 抗酸化作用 62
2 ビタミンD 62
3 ビタミンE 63
4 ビタミンK 64
5 ビタミンB1 65
6 ビタミンB2 65
7 ビタミンB6 66
8 ビタミンB12 67
9 ナイアシン 68
10 パントテン酸 69
11 葉酸 70
12 ビオチン 71
13 ビタミンC 71

第6章 無機質 73

1 無機質の栄養 74
2 生体成分の構成素としての無機質 74
 2.1 カルシウム 74
 2.2 リン 75
 2.3 マグネシウム 75
3 無機質と電解質 76
 3.1 ナトリウム 76
 3.2 カリウム 77
 3.3 塩素 77
4 鉄代謝と栄養 78
5 酵素反応への賦活作用 79
 5.1 銅 79
 5.2 亜鉛 79
 5.3 セレン 80
 5.4 マンガン 80
 5.5 モリブデン 80
6 その他の無機質 81
 6.1 クロム 81
 6.2 ヨウ素 81
 6.3 硫黄 82

第7章 水の代謝 83

1 水分の調節 84
 1.1 アルドステロンによる水代謝の調節 85
 1.2 バソプレッシンによる水代謝の調節 85
 1.3 心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)による水代謝の調節 85
2 電解質の代謝 85
3 酸塩基平衡 86

第8章 成人期から高齢期の栄養 87

1 更年期と栄養 88
2 生活習慣病 88
 2.1 肥満 88
 2.2 糖尿病 90
 2.3 高血圧 90
 2.4 脂質異常症、動脈硬化 90
 2.5 骨粗鬆症 91
3 高齢者 91
 3.1 栄養関連機能の加齢変化 91
 3.2 低栄養 92
4 フレイルティおよびサルコペニアの病態と栄養 93
 4.1 たんぱく質の関与 93
 4.2 ビタミンDの関与 94
 4.3 抗酸化作用と関連のある栄養素 94
5 ロコモティブシンドロームと栄養 95
6 認知機能低下と栄養 95
 6.1 抗酸化と関連するビタミン 95
 6.2 ホモシステイン 95
 6.3 ビタミンD 95
 6.4 多価不飽和脂肪酸 96
7 体水分の調節障害 96
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