増災と減災行き過ぎた再生可能エネルギー開発による災害への警告

著者:鈴木猛康(山梨大学名誉教授・客員教授)
分野:安全学
ページ数:200
判型:四六
ISBN:978-4-8446-0929-2
定価:本体 2,000円 + 税
 良かれと思った開発や制度が、のちに大きな災いを招いてきた。本書ではそれを増災と呼ぶことにした。開発と災害は両立できないトレードオフの関係にある。開発や開発を推進するための法制度には、わかりやすい目先のメリットがある一方、災害となって後世に禍根を残し、長期にわたって人々を苦しめるデメリットがある。
 一方、災害が発生することを前提に、被害を最小限に留めるための、ソフト(法制度)を中心とした施策として、減災という概念がある。
 本著では現代の増災について、行き過ぎた再生可能エネルギー開発とグランピング開発という2つの増災の可能性を取り上げている。気候変動対策として我が国を含む多くの先進諸国が取り組む再生可能エネルギー開発は、行き過ぎてしまうと土砂災害に留まることなく、地域を崩壊させ、日本列島を破壊させるような大きな犠牲を伴う可能性があることを説明する。また、グランピング開発を通して、縦割り行政の弊害が大災害につながる危険性について、都道府県や市町村への許認可権限移譲の問題を含め、実例を挙げて説明する。
目次正誤表追加情報
第1章 増災とは、そして減災とは
1.1 日本は自然災害多発国
1.2 自然災害の素因と誘因
1.3 砂防の父 ヨハネス・デ・レーケ―山を守ることが水害を減らすこと―
1.4 山と海はつながっている
1.5 人為的に大規模災害発生リスクを高める、それが増災
1.6 社会素因を向上させること、それが減災
1.7 人口増、河道の固定化
1.8 近年の都市開発と増災
1.9 100年間で遷都4回―藤原京から平安京まで―
1.10 大阪城築城と増災―六甲山は禿山―
1.11 製塩業と窯業の発展と増災

第2章 熱海伊豆山地区の土石流災害から学ぶ
2.1 土石流災害発生とその要因
2.2 静岡県と熱海市の対応から表面化した大きな課題
2.3 盛土規制法で課題が解決されるのか
2.4 問題が山積みの盛土規制法

第3章 現代の増災
3.1 行き過ぎた再エネ開発と増災
3.2 再生可能エネルギー開発とFIT制度
3.3 令和の公害―太陽光発電施設における土砂災害―
3.4 斜面の安定には地下水位の評価が欠かせない理由
3.5 メガソーラーの土砂災害は熱海市土石流災害の10倍の規模
3.6 新たな警戒避難体制構築の必要性
3.7 避難スイッチと逃げどきチャート
3.8 風力発電施設と増災
3.9 森林法に基づいた審査とは
3.10 再生可能エネルギーの開発が行き過ぎた場合のデメリット(増災)
3.11 再生可能エネルギー開発は増災なのか

第4章 行き過ぎたグランピング開発は増災―縦割り行政の弊害が増災につながる―
4.1 急な斜面にグランピング
4.2 土砂災害警戒区域に宿泊施設を新設
4.3 建築基準法とグランピング
4.4 その後の行政の対応
4.5 縦割り行政の弊害として存在する縦割り法制度
4.6 景観条例は機能しているのか

第5章 将来に備える事前減災
5.1 事前に行うから効果の大きい事前減災へ
5.2 シンガポールに学ぶグリーンインフラ
5.3 Eco-DRR(生態系に基づく減災)
5.4 レジリエントなまちづくり

第6章 増災をなくすために
6.1 増災を振り返る
6.2 地震予知と気候変動の類似性
6.3 国土利用計画法の本来の目的とは
6.4 国土利用基本法の必要性
6.5 トレードオフの研究に予算を
6.6 エネルギー、食料、水の安全保障も大切な減災対策

第7章 気候変動と自然災害
7.1 人為的な二酸化炭素排出による気候変動と増災
7.2 気候変動と自然災害の関係
7.3 パキスタンの洪水は気候変動のせいと言い切れるのか
7.4 地球の気候変化の歴史
7.5 地球の気候と太陽光
7.6 地球は温暖化に向かっているか
7.7 人為的な二酸化炭素排出と地球温暖化
7.8 地球内での二酸化炭素の循環<
7.9 全球気候モデルによる気温予測
7.10 地球温暖化に及ぼす自然と人間活動の影響を比較する議論
7.11 SDGsの矛盾
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