【刊行予定】木組みの伝統技術日本の誇る技と文化を伝える

著者:谷川一雄(木組み博物館 館長) / 谷川一美(木組み博物館 副館長)
分野:建築工学
ページ数:216
判型:A5
ISBN:978-4-8446-0979-7
定価:本体 2,300円 + 税
 4千年の歴史を持つ、日本が世界に誇る「木組み」の技術についてわかりやすく紹介します。
 伝統的な技術を用いて建造物が製作される機会が減少しつつあり、宮大工など高い技術を持った技術者が減少し、さらに記録化された文献が少ないなどの理由により、日本の伝統木造建築の技術はその伝承が危ぶまれています。本書を通じて、その中の重要な位置にある「木組み」を取り上げることで、日本の伝統文化を後世に繋げたいと考えています。
 本書では、木組みの写真、図、絵を随所に配置することで学生から一般の方でもわかりやすい内容とし、かつ専門家にも参考となるレベルとしています。
 本書の大きな特徴は2点あります。一つは木組みそのものに留まらず、生きている樹から材料としての木、そして木組み、その集まりの建物、日本の伝統文化、職人の技、美意識と広い角度から内容を展開しています。もう一つは、著者が建設会社で約40年間、現場監督として得た経験から学んだこと、疑問を実験や検証により理解を深めたこと、宮大工など関係者との交流で得たことなども反映させ、深い内容となるよう努めました。
目次正誤表追加情報
1章 木組みとは
1.1 木組みとは何か
 1.1.1 木組みの役割
 1.1.2 日本の文化、価値観による木組み
1.2 木組みの歴史
 1.2.1 最古の木組み ― 縄文時代 ―
 1.2.2 日本の伝統木造建築の基礎 ― 飛鳥・奈良時代 ―
 1.2.3 木組みの発展期 ― 鎌倉時代、室町時代 ―
 1.2.4 新しい技術の展開 ― 現代 ―
1.3 木組み以外の伝統技術
 〈コラム①〉 東大寺大仏殿の柱くぐり

第2章 木組みの種類-基本形から応用形まで-
2.1 木組みの基本形と組み合わせ形
 2.1.1 継手仕口の基本形
 2.1.2 木組みの材をつなぐ部品
 2.1.3 継ぎ手
 2.1.4 仕口
 2.1.5 変わり種
 2.1.6 その他
 2.1.7 斗組み
 2.1.8 心柱
2.2 木組みの応用形
 2.2.1 どこに、どのように、どれくらい使われているか
 2.2.2 使われ方の具体例
 〈コラム②〉 木組み博物館

第3章 どうやって作る-木組み製作の技術-
3.1 建物の作り方手順
 3.1.1 木材調達の手順
 3.1.2 良い木材とは
 3.1.3 乾燥について
 3.1.4 乾燥実験
3.2 加工図作成
3.3 加工
 3.3.1 軸部の例
 3.3.2 斗組みの例
 3.3.3 屋根の例
 3.3.4 具体的な木組みの加工
3.4 組み立て
 3.4.1 建物の組み立て手順
 3.4.2 難しさや工夫の例
3.5 大工道具
 3.5.1 春日権現験記絵
 3.5.2 大工道具の主な物
 3.5.3 古代の製材の方法
3.6 宮大工
 3.6.1 大工の種類
 3.6.2 大工の数の変化
3.7 木と心を語れる宮大工棟梁 西岡常一
 3.7.1 西岡常一棟梁の略歴
 3.7.2 伝統木造建築に対する宮大工としての姿勢
 〈コラム③〉 木の与えてくれるもの

第4 章 木について
4.1 樹について
 4.1.1 樹と木
 4.1.2 樹木の種類
 4.1.3 樹の植生について
 4.1.4 樹の生育について その1
 4.1.5 樹の生育について その2
 〈コラム④〉 木は呼吸し生きている
4.2 木について
 4.2.1 木の個性
 4.2.2 木目と杢目
 4.2.3 木の使い方
 〈コラム⑤〉 四方柾に魅せられて

第5 章 科学的に観る、考える
5.1 強さ
 5.1.1 木の強さ
 5.1.2 木組みの強度
5.2 木や木組みの持つ力
 5.2.1 木組みの持つ免震性
 5.2.2 木組みおよび建物の耐久性
 5.2.3 和釘
 5.2.4 補強金物を使うかどうか
 〈コラム⑥〉 傾斜復元力

第6 章 日本の伝統木造建築と木組みの技術の将来
6.1 メンテナンス
 6.1.1 日常のメンテナンス
 6.1.2 大規模修理や解体修理
6.2 日本の伝統木造建築と木組みの将来のために必要なこと
 6.2.1 日常のメンテナンスと大規模修理、解体修理
 6.2.2 木の確保
 6.2.3 現物の保存と技術の継承
 6.2.4 人々の古建築に寄せる想い
 〈コラム⑦〉 伝統の破壊

第7 章 木組みに見る美
7.1 古代人の美意識
 7.1.1 法隆寺西院伽藍に見る美
 7.1.2 薬師寺三重塔の美しさ
7.2 木組み部材に見る美
 7.2.1 法隆寺の雲肘木
 7.2.2 薬師寺の舌と笹刳り
7.3 美により受け継がれる技術
 7.3.1 斗組み
 7.3.2 継ぎ手

参考資料
索引
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