栄養管理と生命科学シリーズ病態と病理

著者:板倉弘重 金子健彦 菊川忠裕 編著
分野:管理栄養士
ページ数:379頁
判型:B5判
ISBN:978-4-8446-0814-1
定価:本体 3,600円 + 税
 現代の医療に求められるものは高齢化社会における病気の予防と克服であり、国民の健康の増進である。個人にとっては、今日、問題となっている生活習慣病の一次予防における食生活の改善をどのように行い、健康という時期をいかにして延ばしていくかが重要な
課題となっている。このような状況の下、現代社会に求められているのが健康・医療・福祉に対処する医療関係者の養成であり、コメディカルワーカーとしての医療チームの位置づけでもある。現在、この医療チームの一員としての管理栄養士の役割も中心的リーダーとして機能するようになり、高度な医療知識が要求されるようになってきている。
 本書は、2010年に新しい管理栄養士養成カリキュラムと国家試験ガイドラインをもとに、
健康科学に関連した分野で、専門家として技術取得を目指す学生諸氏に医学の基礎である
病理学の知識として、細胞や組織の基本から異常な状態までを解説し、さらに腫瘍の増殖についても詳述している。また、消化器系、循環器系、腎・尿路系・内分泌系、神経・精神系、呼吸器系、血液・リンパ系、筋骨格系、生殖器系等の疾患の定義、成り立ち(病因・病態)、症状、診断、治療を正確にわかりやすく解説している。チーム医療を実施するうえで現代の医療では、EBMは重要なものである。そのためには、臨床検査データを判読することや検査データや薬物代謝に及ぼす食品の影響など多岐にわたる知識が必要となる。
 本書の特徴は、疾病の成り立ちのすべてにフォーカスをあて、網羅されているところである。少しでも多くの知識を盛り込んだために、多少紙面の増加があったが、チーム医療の一員としての栄養の専門家として、その役割を果たすために十分な内容になっている。
 本書をもとに学生諸氏が自主的に課題を発見して、解決する能力を身につけ十分に力を発揮して頂くことを期待している。本書の編集方針や内容について、ご意見やご批判を頂ければ幸いである。
 2013年12月                  編者・執筆者を代表して 菊川忠裕 
目次正誤表追加情報
第1章 疾病の成り立ち    
1 遺伝と疾病
2 エピジェネティクス
3 老化・加齢と疾病
4 高齢者の特徴
4.1 加齢に伴う筋機能の低下
4.2 歩行能力と筋力の関係
4.3 筋力低下の予防
5 病因
5.1 感染
5.2 免疫
5.3 アレルギー  
5.4 栄養
5.5 環境
5.6 中毒
5.7 心身症
5.8 医原性
5.9 腫瘍
問題     
第2章 疾患による細胞・組織の変化
1 炎症と創傷治癒
1.1 炎症
1.2 創傷治癒
2 変性
3 壊死(ネクローシスとアポトーシス)
4 萎縮と肥大
5 過形成、化生と異形成
6 腫瘍(良性腫瘍と悪性腫瘍)
問題
第3章 死の判定、脳死、心臓死
1 全身死と脳死
問題
第4章 疾患診断の概要
1 一般的診察
1.1 問診
1.2 身体診察(理学的検査)
2 主な症候
2.1 バイタルサイン
2.2 全身症候
2.3 その他の症候・病態
3 臨床検査
3.1 種類と特性
3.2 検体の種類・採取方法
3.3 基準値の考え方
3.4 一般検査
3.5 血液学検査
3.6 生化学検査       
3.7 免疫学検査
3.8 微生物学検査
3.9 生体機能検査
3.10画像検査
3.11 病理検査
問題

第5章 治療の概要                   
1 種類と特徴
1.1 自然治癒
1.2 安静と栄養
1.3 原因療法と対症療法、特殊療法
1.4 根治療法、保存療法
2 治療計画、実施、評価
2.1 治療計画の手順
2.2 治療の適応・選択、実施、モニタリング、評価とPDCAサイクル
2.3 インフォームド・コンセント
3 治療の方法
3.1 食事・栄養療法
3.2 薬物療法
3.3 輸液、輸血、血液浄化
3.4 手術、患者の管理
3.5 臓器・組織移植、人工臓器
3.6 放射線治療
3.7 遺伝子治療
3.8 免疫療法、ワクチン
3.9 理学療法
3.10 代替医療
3.11 その他の治療法、精神療法・心理療法
4 末期患者の治療
4.1 ターミナルケア(終末期医療)
4.2 緩和医療
4.3 尊厳死
5 救急救命医療(クリティカルケア)
5.1 外傷          
5.2 熱傷       
5.3 外科手術と術前術後管理
5.4 集中治療
5.5 呼吸停止・心停止
5.6 ショック
6 根拠に基づいた医療
6.1 科学的根拠に基づいた医療
6.2 診療ガイドライン
6.3 医療の質の確保と医療事故の防止
6.4 チーム医療、地域医療、クリティカルパス
7 再生医療
問題
第6章 栄養と代謝
1 栄養障害の成因・病態・診断・治療の概要
1.1 飢餓
1.2 たんぱく・エネルギー栄養障害(栄養失調症)
1.3 ビタミン欠乏症・過剰症
1.4 ミネラル欠乏症・過剰症
1.5 肥満・肥満症
2 代謝疾患の成因・病態・診断・治療の概要
2.1 糖尿病とその合併症
2.2 低血糖とsick day
2.3 脂質異常症
2.4 メタボリックシンドローム
2.5 高尿酸血症、痛風
2.6 先天性代謝異常
2.7 アミロイドーシス
問題
第7章 消化器系
1 消化器系疾患の成因・病態・診断・治療の概要
1.1 口内炎、舌炎、歯周病、う歯、唾液腺疾患
1.2 胃食道逆流症、アカラシア
1.3 胃十二指腸潰瘍
1.4 たんぱく漏出喪失性胃腸障害
1.5 クローン病
1.6 潰瘍性大腸炎
1.7 過敏性腸症候群
1.8 急性腹症
1.9 肝炎
1.10 肝硬変
1.11 脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎
1.12 胆石症、胆嚢炎
1.13 膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)
1.14 吸収不良症候群
1.15 胃切除後症候群
1.16 嚥下障害
問題 128
第8章 循環器系                
1 循環障害の病理
1.1 虚血、充血、うっ血
1.2 出血、止血の機構
1.3 血栓
1.4 塞栓
1.5 梗塞
2 循環器系疾患の成因・病態・診断・治療の概要
2.1 高血圧
2.2 動脈硬化
2.3 狭心症、心筋梗塞
2.4 心不全
2.5 不整脈
問題
第9章 腎・尿路系
1 水・電解質代謝異常(電解質異常、酸塩基平衡異常)
1.1 ナトリウムの調節
1.2 Kの調節
1.3 カルシウムの代謝
1.4 酸塩基平衡とその調節
2 透析
2.1 血液透析
2.2 腹膜透析
3 腎•尿路系疾患の成因•病態•診断•治療の概要
3.1 急性•慢性糸球体腎炎
3.2 ネフローゼ症候群
3.3 急性•慢性腎不全
3.4 糖尿病性腎症
3.5 慢性腎臓病
3.6 尿細管機能異常
3.7 尿路結石症
問題
第10章 内分泌系
1 内分泌疾患総論
2 内分泌系疾患の成因・病態・診断・治療の概要
2.1下垂体ホルモンの異常による疾患  
2.2 甲状腺ホルモンの異常による疾患
2.3 副腎ホルモンの異常による疾患  
2.4 副甲状腺ホルモンの異常による疾患
2.5 卵巣ホルモンの異常による疾患
問題     
第11章 神経・精神系 
1神経疾患の成因・病態・診断・治療の概要  
1.1 脳血管障害
1.2 認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、前頭側頭型認知症)                    
1.3 パーキンソン病・症候群
1.4 糖尿病性末梢神経障害
1.5 多発性硬化症
1.6 脊髄小脳変性症
1.7 ハンチントン病
1.8 重症筋無力症
1.9 周期性四肢麻痺
1.10 ギラン・バレー症候群
1.11 正常圧水頭症
2 感覚器疾患の成因・病態・診断・治療の概要
2.1 糖尿病性網膜症
2.2 白内障、緑内障
2.3 聴力障害、メニエール病
2.4 味覚障害
3 摂食障害の成因・病態・診断・治療の概要
3.1 神経性食欲不振症
3.2 神経性大食症
4 精神疾患の成因・病態・診断・治療の概要
4.1 アルコール依存症
4.2 薬物の乱用・依存・離脱
4.3 統合失調症
4.4 気分障害
問題
第12章 呼吸器系
1 呼吸器系疾患の成因・病態・診断・治療の概要
1.1 慢性閉塞性肺疾患
1.2 気管支喘息
1.3 気管支炎、肺炎
1.4 肺結核
1.5 睡眠時無呼吸症候群
問題
第13章 血液・造血器・リンパ系
1 血液系の疾患・障害の成因・病態・診断・治療の概要
1.1 貧血
1.2 白血病とリンパ腫
1.3 血小板減少症
1.4 凝固異常症
1.5 播種性血管内凝固(症候群)
問題
第14章 運動器(筋骨格)系
1 運動器(筋骨格)系疾患の成因・病態・診断・治療の概要
1.1 骨粗鬆症
1.2 くる病/骨軟化症
1.3 変形性関節症
1.4 筋ジストロフィー
1.5 横紋筋融解症
1.6 サルコペニア
1.7 ロコモティブシンドローム
1.8 廃用性筋萎縮
問題
第15章 生殖器系
1 生殖器系疾患の成因・病態・診断・治療の概要
1.1 子宮筋腫
1.2 子宮内膜症
1.3 無月経
1.4 不妊症
1.5 良性前立腺肥大症
1.6 勃起(機能)不全
2 異常妊娠と妊娠合併症
2.1 異常妊娠
2.2 妊娠合併症
問題
第16章 感染症    
1 感染症とは
1.1 感染とは
1.2 感染症成立の三大要因
1.3 感染の診断
1.4 感染症法
1.5 新興感染症と再興感染症
1.6 日和見感染症と院内感染症
2 細菌感染症
2.1 細菌感染症と抗菌薬
2.2 おもな細菌感染症
3 ウイルス感染症
3.1 ウイルス感染症と抗ウイルス薬
3.2 おもなウイルス感染症
4 スピロヘータ感染症
4.1 梅毒
4.2 その他のスピロヘータ感染症
5 真菌感染症
5.1 カンジダ症
5.2 アスペルギルス症
6 クラミジア、リケッチア感染症
6.1 クラミジア感染症
6.2 ツツガムシ病
7 原虫その他の寄生虫疾患
7.1 エキノコッカス(エキノコックス、エヒノコックス)感染症
7.2 原虫感染症
8 プリオン病
9 院内感染症、薬剤耐性菌感染症
9.1 院内感染とは
9.2 感染源となるおもな病原体
9.3 薬剤耐性菌
10 感染制御対策
10.1 消毒
10.2 手洗い
10.3 隔離
10.4 予防接種
問題
第17章 免疫と生体防御 
1 免疫と生体防御
1.1 特異的・非特異的防御機構
1.2 体液性免疫、細胞性免疫
1.3 全身免疫、局所(粘膜)免疫
1.4 免疫寛容
1.5 免疫と栄養
1.6 アレルギー
2 免疫・アレルギー性疾患の成因・病態・診断・治療の概要
2.1 アレルギー性疾患   
2.2 食物アレルギー   
2.3 膠原病、リウマチ性疾患、自己免疫疾患
2.4 全身性エリテマトーデス
2.5 関節リウマチ
2.6 強皮症
2.7 多発性筋炎・皮膚筋炎
2.8 血管炎症候群
2.9 シェーグレン症候群
2.10 後天性免疫不全症候群
問題
第18章 悪性腫瘍

1 腫瘍
1.1 細胞増殖・分化
1.2 組織の再生・修復、増生、肥大、化生、異形成・退形成
1.3 良性腫瘍・悪性腫瘍
1.4 局所における腫瘍の増殖・局所浸潤・転移
1.5 腫瘍発生における遺伝的要因・環境要因
1.6 がん遺伝子・がん抑制遺伝子
1.7 がんと肉腫
2 それぞれの組織におけるがんの成因・病態・診断・治療の概要
2.1 食道
2.2 胃
2.3 結腸・直腸
2.4 肝臓
2.5 咽頭・喉頭
2.6 肺
2.7 子宮頚部・体部
2.8 乳房
2.9 前立腺
2.10 脳
2.11 その他の腫瘍
問題
【問題解答】
索引






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