コメディカル専門基礎科目シリーズ生理学

著者:桑名俊一・荒田晶子編著
分野:コメディカル
ページ数:400頁
判型:A5判
ISBN:ISBN978-4-8446-0848-6
定価:本体 5,000円 + 税
「生理学」はノーベル賞の一分野にもあるように一般の人でも馴染みのある言葉である。しかし、その内容について説明できる人は少ないであろう。ノーベル生理学・医学賞は1901年から始まっており、生理学および医学の分野で最も重要な発見を行った人物に与えられるものである。研究対象は広範で、これまで得られた知見も膨大であり、今後も広がり続けると思われる。このことから生理学の教科書は受賞者の名前こそ書いてないがノーベル賞の解説書といっても過言でなく、これまでの莫大な知見や知識が詰まったものである。したがって、詳細に書かれた教科書を理解するには多くの専門知識が必要であり、簡単ではない。

本書は、生理学を初めて学ぶ学生を対象に書いたものであり、内容を平易にしかも系統的に記述することを心掛けた。また対象は看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、放射線技師等のコメディカル領域を目指す学生であるが、医師、歯科医師、薬剤師を目指す学生においても使えるように、最新の知見や詳細に知るべき事柄をコラムとして記載した。

各章末には、多肢選択式問題および記述式問題を収載した。いずれの問題も、看護師、理学療法士・作業療法士の国家試験出題基準を念頭においたものであり、知識の整理・確認に活用できるものである。これらの国家試験出題基準も生理学・医学の進歩とともに見直され、平成28年度からの理学療法士・作業療法士の出題基準には「再生医療」の項目も入ってきている。本書では2012年ノーベル賞受賞者の山中伸弥博士の研究についても記述した。ただし、本書を国家試験対策本として使うのでなく、本書から生理学を学ぶ楽しさを見つけて頂きたい。将来、生理学的視点から病気・疾病・障害を理解し、治療に活かすことが、良き医療人の条件であるからである。

最近はどこの大学でも授業評価アンケートを行うが、同じ内容の授業であれば若い先生の方が分かり易いという結果が出ている。このため本書の執筆も、医学あるいは生命科学の分野で十分な研究と教育経験があり、しかも比較的若い先生にお願いした。また、良い教科書は、図表の分かり易さだけでなく、文章も論理的に書いてあるものである。個人的には、恩師である故名津井悌次郎先生の「新版生理学」が模範となっており、特に体液の章は先生の教示を引き継ぐようにした。

目次正誤表追加情報
第1章 生理学の基礎 1
1 細胞とその環境 2
1.1 生命の基本単位 2
1.2 生体の機能的構成 3
2 恒常性の維持と調節機構 4
2.1 恒常性の維持 4
2.2 調節機構 4
3 細胞の機能的構造 5
3.1 細胞膜 5
3.2 細胞内小器官 8
3.3 核 9
4 核酸と遺伝子 10
4.1 核酸の種類と構造 10
4.2 DNAと遺伝子 11
4.3 遺伝情報の複製 12
4.4 タンパク質合成 13
4.5 ヌクレオチドの代謝 14
4.6 遺伝的異常 15
5 幹細胞と再生医療 17 
5.1 幹細胞とは 17
5.2 ES細胞(胚性幹細胞) 18
5.3 iPS細胞(人工多能性幹細胞) 18
5.4 幹細胞の臨床応用 19
問 題 20
第2章 神経系の基本的機能 23  
1 神経細胞 24
1.1 神経細胞の構造 24
1.2 神経接続の基本的構成 24
1.3 神経細胞のイオン組成と細胞膜の構造 25
1.4 神経の静止電位 27
2 神経信号の発生 28
2.1 活動電位の発生 28
2.2 閾膜電位と全か無かの法則 31
2.3 相対不応期と絶対不応期 31
3 神経信号の伝わり 33
3.1 有髄神経と無髄神経 33
3.2 興奮の伝導(活動電位の伝導) 33
3.3 神経伝導速度 35
4 神経の連絡と神経信号の伝達 37
4.1 シナプス伝達 37
4.2 興奮性シナプスと抑制性シナプス 38
4.3 シナプスの性質 40
4.4 シナプス接続と神経回路 41
問 題 43
第3章 神経系の機能 45
1 末梢神経系 46
1.1 脳神経 46
1.2 脊髄神経 47
2 中枢神経系 48
2.1 脊髄 48
2.2 脳 48
3 自律神経系 57
3.1 交感神経系 57
3.2 副交感神経系 59
3.3 内臓求心性線維 59
3.4 自律神経支配の特徴 59
3.5 自律神経系の中枢 61
3.6 自律機能の反射性調節 61
問 題 62
第4章 感覚の生理 65
1 感覚総論 66  
1.1 適刺激、様式 66
1.2 刺激の強さと感覚の大きさの関係 66 
1.3 受容変換部位 67
1.4 色々な条件下での感覚 68
2 体性感覚・内臓感覚
69 
2.1 皮膚感覚 69
2.2 深部感覚 75  
2.3 内臓感覚 77  
2.4 痛覚と痒み 77   
3 化学感覚(味覚、嗅覚) 84
3.1 味の種類と受容体、味の受容器 84 
3.2 味覚の伝導路 86
3.3 味覚が関与する反射 86 
3.4 においの種類とその受容器 87
3.5 嗅覚の伝導路 88 
4 視覚 89
4.1 眼の構造と役割 89
4.2 眼の遠近調節 90
4.3 眼に入る光の量の調節 90
4.4 網膜 90
4.5 視覚の伝導路 92
5 聴覚、平衡感覚 92 
5.1 音とは 92
5.2 音が神経の信号に変えられるまで 93
5.3 聴覚の伝導路 95
5.4 平衡感覚の受容器 95
5.5 平衡感覚の伝導路 96
問 題 97
第5章 筋肉・運動の生理 101
1 筋肉の種類と性質 102
1.1 筋肉の構造と分類 102
1.2 骨格筋・心筋・平滑筋の構造と特性 102
1.3 骨格筋・心筋・平滑筋の機能的特性 104
2 骨格筋の生理機能 104
2.1 骨格筋に分布する神経と血管 104
2.2 羽状筋と平行筋 105
2.3 筋収縮タンパクの微細構造 106
2.4 運動神経と神経筋接合部と運動単位 108
2.5 筋収縮の仕組みとATPエネルギー 110
2.6 ATPの合成機構 111
2.7 骨格筋の機械的特性 115
2.8 筋線維の分類:Type I細胞とType Ⅱ細胞 118
2.9 筋肉の委縮と肥大 120
2.10 筋血流量の調節 122
問 題 124
第6章 運動の制御機構 127
1 運動の実行 128
1.1 運動単位 128
1.2 筋張力の制御 130
2 運動の制御指令 131
2.1 基本的な運動のプログラム 131
2.2 上位運動中枢と運動指令の伝導路 136
2.3 大脳皮質運動野 138
2.4 大脳基底核 139
3 運動の調節 143
3.1 小脳による運動調節 143
問 題 145
第7章 血液の生理 149
1 血液の構成 150
2 有形血液成分 151
2.1 造血 151
2.2 赤血球 153
2.3 白血球 158
2.4 血小板 161
2.5 白血病 162
3 液体血液成分 163
3.1 血漿タンパク質 163
3.2 血液凝固因子 164
3.3 免疫物質 167
3.4 脂質 171
3.5 糖質 172
3.6 ミネラル 172
問 題 173
第8章 循環の生理 175
1 心臓の機能 176
2心臓の構造 176
2.1 心房と心室 176
2.2 房室弁と半月弁 177
2.3 心筋 177
3 心電図 178
3.1 記録法(誘導法) 178
3.2 正常心電図 180
3.3 異常心電図 181
3.4 心ベクトルと平均電気軸 182
4 心臓の周期的活動 184
4.1 心室収縮期 184
4.2 心室弛緩期 185
5 心拍出量の調節機構 186
5.1 内因性調節機構 186
5.2 液性因子 186
6 血管系 187
6.1 動脈 187
6.2 毛細血管 188
6.3 静脈 190
7 血圧 191
8 血圧の測定法 191
9 血管運動の調節 193
9.1 動脈圧受容器反射 193
9.2 レニン−アンギオテンシン系 195
9.3 その他の因子 195
10 血液循環 196
10.1 体循環 196
10.2 肺循環 196
10.3 胎児循環 197
10.4 冠状循環 198
10.5 皮膚循環 199
11 リンパ循環 199
問 題 200
第9章 呼吸 203
1 呼吸器 205
1.1 気道 205
1.2 肺 206
2 呼吸運動 206
2.1 胸郭運動 206
2.2 呼吸筋 207
3 肺機能 209
3.1 肺気量 209
3.2 気道抵抗と換気障害 210
3.3 肺コンプライアンス 213
4体内のガス交換 215
4.1 肺のガス交換 215
4.2 血液によるO2運搬 217
4.3 血液によるCO2の運搬 219
5 末梢の受容器・反射 221
5.1 末梢性化学受容器 221
5.2 肺の機械受容器 221
6 呼吸の神経性調節 224 
6.1 呼吸の運動制御について 224
6.2 呼吸中枢 225
6.3 中枢性化学受容 226
6.4 安静時の換気量の調節機構 227
7 呼吸の随意性調節 227
7.1 呼吸の随意性調節 227
7.2 発声-呼吸連関 228
8 特殊呼吸、環境と呼吸 229
8.1 異常呼吸の種類 229
8.2 特殊環境の呼吸への影響 230
8.3 運動と呼吸 230
問 題 231
第10章 消化・吸収 235
1 消化・吸収の概要 236
1.1 消化器系の構造 236
1.2 消化管運動の役割と様式 236
1.3 自律神経系の働き 238
1.4 三大栄養素の消化 238
2 口腔での消化 240
2.1 そしゃく(咀嚼) 240
2.2 唾液 241
2.3 嚥下 242
3 胃での消化 243
3.1 胃の運動 243
3.2 胃液 245
4 小腸での消化と吸収 248
4.1 小腸の運動 248
4.2 膵液 249
4.3 胆汁 251
4.4 小腸での消化・吸収 252
4.5 消化管ホルモンによる消化の調節 254
5 大腸 255
6 排便 256
問 題 257
第11章 栄養・代謝 259
1 概要 260
1.1 栄養と栄養素 260
1.2 代謝とは 261
2 エネルギー代謝 261
2.1 エネルギー量とカロリー 261
2.2 呼吸商(呼吸比) 262
2.3 基礎代謝 263
2.4 食事誘発性熱産生 264
2.5 身体活動とエネルギー消費 264
2.6 エネルギー収支と貯蔵 266
3 栄養素の代謝 268
3.1 糖質代謝 268
3.2タンパク質代謝 270
3.3脂質代謝 271
3.4絶食時の代謝 274
4 ビタミン 275
4.1 脂溶性ビタミン 275
4.2 水溶性ビタミン 277
問 題 279
第12章 腎臓の生理 283
1 腎臓の機能的構造 284
1.1 ネフロン 285
1.2 腎循環系の特徴 286
2 尿の生成とその機序 286
2.1 糸球体濾過 287
2.2 再吸収される物質 289
2.3 分泌される物質 295
2.4 水素イオンの分泌と体液[H+]調節 295
2.5 クリアランス 297
3 排尿 298
3.1 尿管 298
3.2 膀胱 298
3.3 排尿反射 299
問 題 301
第13章 体液の恒常性 303
1 体液の浸透圧濃度 304
1.1 溶液の濃度 304
1.2 体液の浸透圧濃度 304
2 体液量と体液の組成 306
2.1 体液量とその区分 306
2.2 体液の組成 307
3 体液浸透圧の調節機構 309
3.1 調節の概要 309
3.2 血漿量の調節 310
3.3 血漿Na量の調節 312
4 体液[ H+]とpH 314
4.1 水素イオン濃度とpH 314
4.2 酸と塩基 315
4.3 緩衝作用 315
4.4 血液の緩衝系 316
5 血液[H+]の調節機構 318
6 アシド-シスとアルカロ-シス 320
6.1 呼吸性アシド-シスと呼吸性アルカロ-シス 320
6.2 代謝性アシド-シスと代謝性アルカロ-シス 320
7 代償作用 322
問 題 324
第14章 内分泌 327
1 ホルモン 330
1.1 ホルモンの種類と受容体 331
1.2 ホルモン分泌の調節 335
1.3 視床下部ホルモンと下垂体 336
1.4 副腎髄質ホルモン 341
1.5 甲状腺刺激ホルモンと甲状腺ホルモン 341
1.6 膵臓と糖代謝 343
2 骨とカルシウム代謝 346
2.1 骨とカルシウム 346
2.2 カルシウム代謝 346
3 生殖とホルモン 347
3.1 精子形成 347
3.2 卵の形成と排卵 349
3.3 妊娠と分娩 350
問 題 352
第15章 体温の調節 357
1 体温とは 358
1.1 核心温と外層温 358
1.2 検温 359
1.3 核心温の限界 360
2 体温のリズム 361
2.1 概日リズム 361
2.2 概月リズム 361
3 熱の移動 362
3.1 非蒸散性熱損失 362
3.2 蒸散性熱損失 362
4 体温調節反応 363
4.1 自律性体温調節反応 363
4.2 行動性体温調節反応 367
5 自律性体温調節のメカニズム 367
5.1 体温調節の2つの制御様式 368
5.2 体温調節中枢からの指令伝達メカニズム 371
6 発熱(fever) 372
6.1 発熱とうつ熱 372
6.2 発熱の生理的意義 375
6.3 発熱のメカニズム 375
問 題 376
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