
この本は、中学校卒業程度の学力を前提として、高校から大学の教養レベルまでの数学及び物理学の基本的な内容を簡潔にまとめたものです。広範な分野の核心的な部分をごまかしなくまとめ、理系としての数学的、物理学的基礎を独習によって身につけられるよう配慮しました。特に、証明の省略や論理の飛躍を極力避け、かつなるだけ内容をコンパクトにすることで読者の負担を減らし、途中で挫折することがないように配慮しました。
大学では、学生はいろいろな本や講義から断片的に知識を身に付けて行きます。それにはもちろん良いところもありますが、ベーシックな部分を速やかに身につけることは現実的に重要です。ところが、各分野の基礎を身につけなければならない段階において、各分野の本を全て読むということには、時間的、金銭的に困難な面があります。適当な本を探すことにも苦労があります。まず、本格的な本では基礎的な部分の説明が不十分であったり、発展的な内容と基礎的な内容が混ざり合っていて初学者には取っ付きにくいということが良くあります。逆に易しめの本はその冗長さがうっとうしく思え、かつ核心部分がごまかされているというようなことが良くあります。さらに、ある分野の基礎を理解していないと、別の分野の基礎が理解できないということが良くあり、特にこのことが初学者の学習を困難にしています。以上のことから、数学・物理学の諸分野に渡る基礎的な内容が順序良く、簡潔に一冊にまとめられた本が必要であると考え、この本を書きました。
この本の構成は「高校数学」、「高校物理」、「高校化学」、「数学」、「物理学」に分かれており、章ごとに順を追って学習していくことでつまずきなく最後まで理解することができます。高校で履修した科目に関係なく大学教養レベルまでの数学及び物理学の基本が身につけられるよう高校レベルから始めていますが、このレベルを十分にマスターしている人は、「数学」から始めてもつまずくことはないでしょう。ただし、大学教養レベルの力学に関しては章を設けておらず、これに関する内容は「高校物理」と、「物理学」の解析力学と振動・波動に盛り込まれています。なお、「高校化学」を扱っているのは、量子化学や熱力学の応用など、化学の分野ではありながら物理学的な考え方が重要となるいくつかの事柄が、理系の基礎として学生に理解が求められることを考慮してのことで、「高校化学」を基礎とした上でこれらの事柄についてもこの本で説明しています
筆者のような若輩者がこのような試みをするというのは恐縮ではあるのですが、筆者は教育上の問題として基礎的な事柄を効率よく身に付けさせる手段というものはもっと検討されるべきだと考えており、この本はその一つの提案というわけです。


