
「改訂版の刊行にあたって」からの抜粋
「(民間確認検査機関のトップ企業として、建築基準法の運用について見解をまとめて欲しい)日本ERIには、実に多くの設計者の方からこうした要望が寄せられました。また、建築関係の
編集者や記者の方からも同じような期待の声を聞いています。」
本書は、大胆にも、こうした求めに応えようとしたものです。
『目からウロコの確認申請』の初版が世に出たのは、今から4年ほど前の平成15年11月でした。そのときの「刊行にあたって」では、上記のような当社の意気込みを記載しました。そして、私たちの予想をはるかに超え、多くの方の賛同を得ることができ、1万部を超える出版がされました。
今、私たちは改正基準法の運用について混乱を極めている渦中にこの思いを新たにし、ここに改訂版をまとめました。
「日本ERIの技術と経験を総結集して、改正基準法の運用を明らかにした改訂版としよう」日本ERIは、国土交通大臣指定の株式会社として第1号の指定を平成12年3月に受け、4月から確認検査業務を開始しました。設立時には「日本ERI7つの理念」を掲げ、全ての建築物を対象に、全国で確認検査のサービスを提供し、技術的にはディファクト・スタンダードとなり、住宅の安全安心の社会的なインフラ・ストラクチャー(基幹組織)をめざしたのです。
この間、平成17年11月には耐震強度偽装事件が発覚しました。これは建築士という専門家としての自覚を欠き、社会的責任を放棄した一個人が、構造計算書を偽造するという例を見ない悪質な犯罪に走った事件でしたが、一方、様々な検証過程において、大臣認定プログラムの脆弱性・改ざん可能性を始めとして、この数十年の建築行政の対応や建築業界の習慣の不十分さが顕わになりました。
この事件の再発防止を主眼としつつ、これらの反省のもとに、平成18年6月には建築基準法の大改正が公布され、翌19年6月20日から施行されました。
その改正内容が従来にないほど大きかったためか、法の公布から1年の期間を過ぎ施行された以降には、様々な準備不足や制度改正の周知不足が露呈し、設計者が適正な申請図書の作成に手間取り、建築着工の停滞や申請手続きを控えるといったことが起こりました。一方、審査機関の側にも「確認審査等の指針」の発表の遅れや曖昧さを原因とする審査の長期化が起こり、建築確認の遅れの要因となりました。
その結果、住宅のみならず全建築物の着工面積は大幅な減少となりGDP(国内総生産)に深刻な影響が出るまでに至りました。
この改正については、「厳格化をねらった新制度の大方針自体は間違っていない。だが、設計者を信頼せず申請図書のあら探しになりかねないような硬直的なシステムになっているのは問題だ」という専門家の指摘もあります。
この改訂版では、建築基準法の内容解説を中心に、建築確認検査の運用のあり方、確認審査の立場から見た確認申請図書作成のポイントなどについて、従来から変っていない部分はもちろん、今回の基準法大改正に伴う部分についても、初版以降蓄積された日本ERIの技術と経験を結集して説明しようという方針により構成されました。
また今回の改正における脚一つである「構造計算適合性判定」いわゆる「ピアチエック」のポイントについても、確認検査機関の立場と、構造計算適合性判定機関の立場(日本ERIには両方の立場があります)から説明しています。


